

「バビロンの大富豪」の基本情報
本の内容についてすでに知っている人は読み飛ばしていただいても大丈夫です。
「バビロンの大富豪」とはどんな本?
この本の舞台は古代都市バビロンです。現在世界中で認められ、活用されている「富の基本原則」が生まれ、育成された「揺籃の地」と言えるところです。…(バビロンの人々は)金を手に入れ、手に入れた金を守り、その金でさらに多くの金を手に入れるために、金を扱ううえでの「健全な原則」を守っていたのです。私たち誰もが望んでいるもの……将来に続く収入源を、バビロンの人々はすでに確保していたのです。
(引用:『バビロンの大富豪「反映と富と幸福」はいかにして築かれるのか』キングベアー出版、p4 括弧内は記事執筆者)
黄金の「七つの知恵」第一の知恵 財布を太らせることから始めよう第二の知恵 自分の欲求と必要経費とを混同するべからず第三の知恵 貯めた資金は寝かさずに増やすべし第四の知恵 損失という災難から貴重な財産を死守すべし第五の知恵 自分の住まいを持つことは、有益な投資と心得よ第六の知恵 将来の保障を確実にすべく、今から資金準備に取りかかるべし第七の知恵 明確な目的に向かって、自己の能力と技量を高め、よく学び、自尊心を持って行動すべし(引用:『バビロンの大富豪「反映と富と幸福」はいかにして築かれるのか』キングベアー出版、p84)五つの「黄金法則」一、将来の資産と家族の財産を築くため、最低でも収入の十分の一を貯めるならば、黄金は進んで、しかもだんだんとその量を増やしながらやってくるだろう二、貯まった黄金がさらなる利益を生むような働き口を見つけてやり、家畜の群れのごとく増やせる賢明な主人となるならば、黄金は勤勉に働いてくれるだろう三、黄金の扱いに長けた人々の忠告のもとに黄金を投資するような慎重な主人であれば、黄金はその保護のもとから逃げようとしないだろう四、自分のよく知らない商売や目的、あるいは黄金を守ることに長けた人々が認めないような商売や目的に使われる黄金は、その人間から逃げてゆくことだろう五、あり得ないような莫大な利益を生ませようとしたり、詐欺師の魅惑的な誘いに従ったり、あるいは自らの未熟で非現実的な欲望に頼ったりするような人間からは、黄金は逃げてゆくことだろう(引用:『バビロンの大富豪「反映と富と幸福」はいかにして築かれるのか』キングベアー出版、p121-122)
活字版
もともとはアメリカの著作家だった、ジョージ・S・クレイソン(George Samuel Clason)によって書かれました。
最初から単行本として書かれたものではなく、倹約や金銭的成功に関してのパンフレット向けに、シリーズとして書かれた文章です。
1926年からシリーズとして刊行されているようです。
その後銀行や保険会社がこれらを広め、100年以上にわたって読み継がれる名著となりました。
日本でも複数の訳本が出ており、この記事では
『バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか』(大島豊訳、キングベアー出版)を使用して記事を書いています。
訳本なので、原著の文をそのまま翻訳したものとなっています。
マンガ版(日本)
マンガ版『漫画 バビロン大富豪の教え「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則』
は活字版を元にマンガとして再構成され、2019年10月に第1刷が刊行されています。
マンガは坂野旭、企画と脚本は大橋弘祐により、文響社から出版されています。

活字版とマンガ版の構成の違い
活字版とマンガ版の構成(章立て)の違いを比較してみましょう。
活字版「バビロンの大富豪」キングベアー出版 | マンガ版「バビロン大富豪の教え」文響社 |
はじめに ―古代都市バビロンの市民は、世界で最も裕福な人々だった | プロローグ 金に動かされる現代人 |
プロローグ こんなに働いているのに、どうしてお金が貯まらないのだろう |
第一章 バビロン一の大金持ち ―なぜ、同じ世に働いているのに貧乏人と大金持ちがいるのか? |
第一話 財産を築くには不滅の「原則」があった | |
<コラム『バビロンの大富豪の教え』を現代に応用する>1 収入の十分の一を貯めるとどれくらい貯まるのか |
|
第二話 富をもたらす黄金の「七つの知恵」とは |
第二章 学びの殿堂 ―大富豪だけが知っている「黄金に愛される七つ道具」 |
第三話 「幸運の女神」が微笑む人間とは |
<コラム『バビロンの大富豪の教え』を現代に応用する>2 収入の十分の一を貯金しても「生活水準が変わらない」は本当か |
第4話 金貨の袋か、「知恵の言葉」が刻まれた粘土板か |
第三章 試練 ―価値があるのは、金貨が入った袋か、知恵が詰まった袋か? |
第5話 自ら稼いだ資金の運用は、こうして決める |
第四章 帰還 ―賢者の助言によって、貯金が懸命に働きだす |
<コラム『バビロンの大富豪の教え』を現代に応用する>3 私たちは何に投資をするべきか |
|
第6話 「強固な城壁」は、人々を恐怖や不安から守ってくれる |
第五章 ザ・ウォール ―「守るべきもの」があるから人は何度でも立ち上がれる |
<コラム『バビロンの大富豪の教え』を現代に応用する>4 現代における「賢明な投資先」とは その一 |
|
第7話 奴隷に成り下がっても、「人間としての誇り」を忘れなかった男 |
第六章 奴隷だった男 ―己の心は「奴隷」のものか、「自由民」のものか |
<コラム『バビロンの大富豪の教え』を現代に応用する>5 現代における「賢明な投資先」とは その二 |
|
第8話 「バビロンの知恵」は現代にも通用するか |
第七章 伝承 ―はるか昔の借金返済記録が、現代人を救う |
第9話 幸福ーそれは「労働の喜び」を知ること |
第八章 王子の商隊 ―なぜ人は働くのか。それは金のためではなかった |
<コラム『バビロンの大富豪の教え』を現代に応用する>6 お金があれば幸せか |
|
おわりに ― 富が支えていたバビロンの繁栄(物語の舞台とその背景) | エピローグ 最後の黄金法則 |
付記 |

マンガ版の特徴
マンガ版の特徴は以下のようになっています!
- イラストがあるので臨場感があり、バビロンの当時の様子がよくわかる
- 原作を再構成することによって、一つの流れ(ストーリー)が生まれ、ドラマチックである
- イラストと文字でテンポよく話が進められる
- コラムの追加によって、100年以上前の教訓を現在用にアレンジしてくれている
- プロローグ・エピローグでもう一つのストーリーが追加されていて、感動的
①イラストがあるので臨場感があり、バビロンの当時の様子がよくわかる
マンガの場合、もちろんイラストがあるので、
文章で説明するとクドクドと長くなるようなところも
イラストで一瞬にしてわかりますので、視覚的にわかりやすいです。
例えば最初の部分のバビロニアの首都バビロンの町の様子の説明。
活字版はこうです。
バンシアの家の向こうには、バビロン市内を囲んでいる高い壁がそびえ立っていた。その壁はたいそう厚くできていて、壁の上部はテラスになっているほどだった。その近くで天空に向かって突き刺すように建っているのは、ベル神の神殿の彩色塔である。こうした豪奢な建物の陰に隠れて、戦車職人の簡素な家や、もっと乱暴で手入れもされていない家がほかにもたくさんあった。これがバビロンだった…
(引用:『バビロンの大富豪「反映と富と幸福」はいかにして築かれるのか』キングベアー出版、p17)
それが、マンガ版では


と2枚のイラストで一瞬で大体のイメージをつかむことができます。
②原作を再構成することによって、一つの流れ(ストーリー)が生まれ、ドラマチックである
最初にも述べたとおり、マンガ版は原著に忠実ではなく、再構成されています。
原作はもともとパンフレットのシリーズとして書かれたものですから、
断章(細かい一つ一つの章)が並べられた形になっていますが、
マンガ版はそれらのエッセンスを残して、登場人物や話の順番を入れ替えながら、
上手に本全体を通したストーリーがある形に変えています。

例えば登場人物のバンシル(活字ではバンシア)は
活字では、バンシルはプロローグにしか登場せず、
旅に出るのも、アルカドの息子(ノマシア。マンガでは出てきません)という事になっていますが、
マンガ版ではバンシルがストーリー全体を貫く主人公となっていて、
金貨の入った袋と黄金法則の書かれた粘土板を持って旅に出ます。
そして、活字では死なないアルカドも死んでしまったり、
最終的にはバンシルがバビロンの王女と結婚して後継者になるというサクセスストーリーも作られています。
③イラストと文字でテンポよく話が進められる

マンガ版では長くなる説明は省き、
イラストで説明できてしまうところはイラストに置き換えて、効果的に話を進めることに成功しています。
④コラムの追加によって、100年以上前の教訓を現在用にアレンジしてくれている
マンガ版に特徴的なのは、活字版にはない「コラム」です。
コラムでは100年前に書かれた教訓を現代に生かすための提案がされています。


-
現在の生涯賃金が3億円なら、給料の十分の一貯めていれば3000万円たまること
-
節約の話題で、現在の大富豪のビルゲイツがエコノミーの席で飛行機移動すること
-
賢明な投資先としてマンガ版でのおすすめは「外国株式のインデックス」に分散投資すること
など、現代に照らした応用方法について述べられています。
⑤プロローグ・エピローグでもう一つのストーリーが追加されていて、感動的

プロローグ・エピローグは活字版にもマンガ版にもどちらにもありますが、
マンガ版のプロローグ・エピローグは舞台が現代日本になっています。
これはマンガ版のオリジナルのストーリーのように思いますが、実は、
活字版の第8話「バビロンの知恵」は現代にも通用するか のリメイクです。
「考古学者が、バビロンの粘土板を解読し、そこに書いてある事を現代で実践する事によって人生が好転した」
という第8話の内容を、プロローグとエピローグに持ってきて、
離婚して借金まみれの考古学者大場拓也が粘土板解読を依頼され(プロローグ)、
解読を始めるところで、その粘土板の内容が本文の内容という展開をし、
本文が終わったところで、大場拓也の人生の好転を描いています(エピローグ)。


活字版の特徴
一方の活字版の特徴は以下です!
- 劇の脚本のような文体である
- 原著に忠実なので深く理解できる
- 情報量はマンガ版より多い
- 断片的な章立てなので、どの章から読んでも理解できる
①劇の脚本のような文体である
活字版は100年前の著作であるためか、文体は古めかしい印象を受けます。
インパクトのある効果を狙った表現などは抑制されていて、
劇の脚本のように淡々とした印象を受けます。
②原著に忠実なので深く理解できるし、情報量が多い
活字版は著者のジョージクレイソンの考えが(訳によって薄められていなければ)全て詰まったものになっています。
さすがに名著となっただけあり、内容も一章一章で中身が濃いです。
例を挙げると、例えば「第二の知恵 自分の欲求と必要経費とを混同するべからず」について説明する部分では、
マンガ版からは
○人間の欲望際限がないので、収入が多くあってもその分使いたくなる
○なので、収入の1/10は使わずに取っておき、9/10で買えないものはあきらめるようにする
○そうすれば本当に必要なものを考える事になる、一番やりたいことのためにお金を使える
という内容が読み取れるのに対して、
活字版ではそれにプラスして、
○必要経費というのは気をつけないと必ず収入額と同じになるまで大きくなるので、必要経費と自分の欲求を混同しないこと
③情報量がマンガ版より多い


④断片的な章立てなので、どの章から読んでも理解できる

まとめ1 マンガ版はこんな人におススメ
- バビロンの雰囲気や世界観を味わいながら読みたい人
- 活字が苦手、エンターテインメント性も重視したい人
- 大体で良いから著作のエッセンスを理解したい人
- 富についての今現在の具体的な答えが知りたい人
マンガ版は
○視覚的に理解ができ
○テンポがよいのでスラスラ読め
○テンポをよくするために詳しい説明を省いているところもあり
ます。そして現代風にアレンジもしていますから、
○今現在、実際にどんな事をすれば本の内容が実現できるか
ということについても現代目線で述べられています。
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まとめ2 活字版はこんな人におススメ
- 名著といわれる原作の考え方を十全に理解したい人
- 読みたいところだけ深く知りたい人
- 読書は好きだけど細切れな時間しか取れない人
- 重い本がカバンに入らない人
マンガ版はテンポや流れ重視で再構成したからか、1,2箇所主張がよくわからないところがありました。
また活字版の特徴で述べたとおり、活字版の情報量や説明の丁寧さはマンガ版を上回るので、しっかりこの本について理解したい人は活字版をおススメします。

両方読むというのはあり?
オーディオブック「Audible」で本を「聴く」(めちゃくちゃおすすめ)

ちなみに日本で「バビロンの大富豪」の漫画本はもう一つあります
日本でマンガ版はもう一つ出版されています。
グスコー出版「コミック版 バビロンの大富豪」です。こちらは訳者は大島豊で完全オリジナル版とされています。
文響社のものはオリジナルをバラバラにした後に再構成したもの、
グスコー出版は(まだ読んでいませんが)オリジナルに忠実にしたもの、でしょうか。
今後こちらも読んで比較記事を上げてみたいと思っています。
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